母との闘病日記

母と私の生きた証を残したい

~ 誤嚥性肺炎 死神病院の章(11/20)② ~

~ 続き ~

11月20日(月) 死神病院へ

『初診』

女子事務員との話しが終わると、すぐに診察室に通される。

車椅子を押し診察室に入ると、女子事務員も同席し、森K院長から開口一番、

本人の前で失礼だが、あなたは自宅で看取りたいのか?病院で看取りたいのか?

と聞かれる。

「本人の前で失礼だが」と前置きすれば何を言っても言い訳ではない。

確かに母は認知症であり、誤嚥性肺炎を患い容易に言葉を発することができなくなっている。

しかし、聞こえてはいるのである。どの程度理解力があるか確認もせずに、しかも診察する前に「本人を前にどこで看取りたいか?」と聞くのは医師として失格ではないだろうか?

なんだ‼コイツは?おまえは葬儀屋か⁉」と思いつつも、

母の容態が悪くなり1日早く診て頂いていることもあり、正直に願望を答える。

自宅で看取りたいです。」しかし、それには無理があるのは解っている。家族は私一人だからである。今月だけならともかく、来月からは会社に行く。ヘルパーを入れ訪問看護師を入れても24時間体制ではないのである。

私の本来の願望はH病院のように両手、腰を拘束して動けない状態から開放すること

また入院が必要になる迄、家に居させてあげたいこと。

看取る場所など、どこでもいいのである。

それよりも、そうなる前に、何をしてあげられるか」の方が大事なのである。

直感的に、この死神先生に、言っても分かってくれないだろうと思ってしまう。

なおも、死神先生から質問が続く。「何故、H病院を退院したんだ?

私が「肺炎が治り、自宅で療養させたかった」と答えると、

そんなことじゃないだろう?何で退院したんだ?と食い下がる

私が仕方なく「H病院の対応があまり良くなかったもので」と答える。

すると、死神先生が「やっと、本音がでたな」と言い至極ご満悦だった

そして、H病院からの紹介状と添付された肺の映像の入ったCD-ROMを私に見せて、「H病院からは、こんなもんしか貰っていない」と私に不平不満をぶちまける。

なんか、この先生おかしい」H病院からは、半月前に打診している。不足している情報があれば、問い合わせする時間は十分にあったはずだし、患者の家族に話して何の意味がある。不信に思うだけではないだろうか。

そして、先程女子事務員と話した件の、自宅で点滴ができるように、点滴指示書の発行

についてお願いをする。H病院の紹介状の中にも盛り込んで頂いている内容だったが、

死神先生は、強い口調で「点滴指示書は出しませんあなたが必要と思ったら、ここに来て点滴を受けて下さい。

オイオイ、おかしいだろ!いくら家族とはいえ、医学的知識をもたない素人が、いつ点滴が必要か、判るわけないだろう?

女子事務員が割って入り、「先生、紹介状のここに点滴指示書の事が」とペンでその部分を指して指摘する。

すると、死神先生は、またまた強い口調で「点滴指示書は出します」と発言する。

アーン、なんだ~、舌の根乾かずとは正にこの事である。この先生、認知症じゃないのか⁉」そう思いながらも、こちらの要望が叶ったのでホッとする。

私から、「母に床ずれができてしまい、訪問看護師が応急処置をして頂きましたが、先生に診て貰って下さい。との事でしたのでお願いします。」と話す。

一旦、診察室から処置室に移り、褥瘡(床ずれ)の確認をする。

すると、死神先生「なんだ‼もう処置がされているじゃないか?」と喚きだす。

絶句しながらも、「先ほど訪問看護師が応急処置をしていると話しましたが」と答える。

診察室に戻り、褥瘡(床ずれ)は来週また見ます。それ迄は貼ったシールを剥がさないで下さいと指示を受ける。

この後、「血液検査と点滴を受けて帰って下さい。

そして、またまた「点滴が必要と思ったら来て下さい。点滴はします

さっき、「点滴指示書は出します。と言ったのに、また変わった。

この時点滴はします。」の言葉にトゲがあったが、この先、点滴以外の治療はして貰うことがなかった。

要するに、最初から治療する気はなかったのである。

すると、大きな疑問が残る。H病院から診察の打診を受けて、何故引き受けたのだろう。H病院からは、匿名でこんな患者さんがいますが、引き受けて貰えますかと打診したと聞いている。決して強制では無いのである。

にも拘わらず、身分相応でなければ断る選択肢もあったはず、全く持って不可解である。

最後に私から、エンショワと言う栄養食材があると聞き、これを使う為には、医師からの指示がないと利用できないので、お願いできますか?と話す。

死神先生、分ったと頷く。私が、ありがとうございます。ケアマネージャーからも是非にと言われていましたので助かります。と話すと態度が急変し「ケアマネージャーは何様のつもりなんだ⁉今度連れて来なさい!」と言い、エンショワの利用は却下された

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今、困っているのは患者である。それを無視して体面ばかりをこだわっているこの先生は、最低ランクの医師と言わざる負えないだろう。

そして、この先、母の病気との闘い以外にも、この死神病院とも戦うことになるとは予想だにしていなかった。

~~~ 続く ~~~